この記事は、ニュージーランドの幼児教育現場で働く日本人保育士や教育関係者交流会から生まれました。現場で感じた経験から生まれた気づきを皆で話し合い、まとめました。
ニュージーランドと日本の保育現場には、教育の進め方、働き方、そして安全管理の考え方において以下のような大きな違いがあることを話しあいました。
保育の進め方と環境
- ルーティンの柔軟性と自由度: ニュージーランドは日本に比べて決まり事が少なく、子供たちが自分のやりたいことに一生懸命取り組む(Engagement・エンゲージメント)ことが重視されます。日本では「お片付け」や「お集まり」といったルーティンによって保育の流れが細かく区切られる傾向がありますが、ニュージーランドでは遊びが盛り上がっていれば予定を変更して遊びを継続させるような柔軟性があります。
- 個人主義 vs 集団主義: 日本では運動会などの行事に向けてクラス全体で練習するなど、「クラス全体としてのまとまり」を重んじます。一方、ニュージーランドは個人主義が強く、一人遊びが成立するような環境設定が一般的です。また、ニュージーランドでは誕生日を迎えるごとに次のクラスへ進級するため、日本のような年度ごとの「クラスの一体感」は希薄に感じられることがあります。
- 環境の捉え方: 日本の保育士の視点からは、ニュージーランドの現場は遊具が入り混じっていたりして「Messy メッシー(散らかっている)」と感じられることがありますが、現地ではあまり気にされない大らかさがあります。
保育士の働き方とウェルビーイング
- 事務量と拘束時間: 日本の現場は行事が多く、ペーパーワーク(書類仕事)が膨大で、夜遅くまで残業することが常態化しているケースが指摘されています。対してニュージーランドは書類仕事が比較的少なく、定時で帰宅できることが一般的で、仕事よりも自分の生活や健康を優先する文化があります。
- 自己犠牲の否定: ニュージーランドでは、保育士自身がハッピーでないと子供たちにも悪影響を与えるという考え方があり、体調が悪い時は無理せず休むなど、「自分を大切にする」姿勢が尊重されます。これは、体調が悪くても仕事に行くのが当たり前になりがちな日本の感覚とは対照的です。
安全管理と医療的ケア
薬の投与: ニュージーランドでは保育士が子供に薬を飲ませる(医師処方薬)ことがありますが、これは日本の多くの幼稚園などでは(養護教諭がいない場合)禁止されていることが多いため、日本出身の保育士が戸惑うポイントの一つです。
救助の優先順位: ニュージーランドのファーストエイド(応急処置)では、「まず自分(救助者)の安全を確保すること」を最優先に教えられます。子供を最優先に考えがちな日本の教育を受けてきた保育士にとっては、この「まず自分」という考え方は驚きを持って受け止められています。
記録の手法
- ラーニングストーリー: ニュージーランド独自の記録手法として、子供の学びを物語形式で記録する「ラーニングストーリー」があります。Storyparkなどのデジタルツールを活用し、写真と共に子供の成長を可視化することが、現地のQualified teacher クオリファイド教員(有資格)保育士の重要な役割となっています。
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