【テファリキ】現地日本人保育士のTe Whariki案内

Te Whariki/テファリキ

Te Whariki/テファリキ とは?

テファリキはニュージーランド教育省で1996年に初版が発行された幼児教育カリキュラムで、ニュージーランドのすべての幼児教育機関(国からの補助金をいただく施設は)テファリキに沿ったカリキュラムで運営されなければなりません。モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア、コハンガレオ(マオリこども園)どの教育スタイルでもテファリキを軸に、ニュージーランドの幼児教育は行われています。

テファリキとはマオリ語で テ(the) ファリキ(woven mat)という意味でマオリ文化でよく使われる、フラックス(Flax)を使った編み込みマットのように、すべての糸がうまく織り込まれて、いいマットができることをたとえに、子供たちの成長も一つの要素だけでなく、全体的要素が上手く織り込まれる必要がある、という意味が隠されています。

運動能力やに認知知識だけでなく、情緒やコミュニケーション、社会性など、子供たちは取り巻くすべての環境の中で複雑に絡み合いながら、全体的に成長することが大事だと示しています。

子供は、そのとりまくすべての環境を吸収して、良くも、悪くも成長します・・・自分自身の生い立ちを振り返ってみたら、そうだよね・・なんて、思うのは私だけでしょうか?


現場で働く私は、テファリキは、五領域、10の姿とつながるところが沢山あると感じています。

テファリキが生まれた背景と日本比較

テファリキのドラフト版が作られたのは1993年。

実は日本がまだバブル崩壊前の恩恵をいただいていたころ、ニュージーランドでは改革の嵐がふいていました。

1984年に確立した労働党政権The Labour government、デイビット ロンギ David Lange首相の下で様々な公共サービス改革がなされました。主なものは以下、

教育改革:ロンギ首相は教育省大臣も兼任 し「Tomorrow‘s Schools 」を1988年に8月に発表し、これにより、学校は保護者から選出されたBoards of Trusteesの下、独自に運営することができるように法改正がされました。
私はこの改革により、日本でいう教育委員会に位置するものが取り除かれたのだと感じています。

社会改革:ロンギ政権の下1987年に the New Zealand Nuclear Free Zone, Disarmament, and Arms Control Act 1987 核を持たない、入れない法 制定

•また、マオリ語法the Māori Language Act 1987を制定。これにより、マオリ語が正式言語として法的に制定。

引用元 https://dehanz.net.au/entries/picot-reporttomorrows-schools/

日本が平成に変わったのが1989年と考えると、南半球の島国ニュージーランドで同じ頃、大きな変化があったことを思うと不思議な感じがします。

テファリキの理念

子供たちは生まれつき成長する力、学ぶ力を持っている!
それを生かすも殺すのも、子供をとりまく環境が大きく影響する。

テファリキの最初に掲げられている言葉を紹介します。

Our vision that all children grow up in New Zealand as competent and confident learners, strong in their identity, language and culture.

ニュージーランドでは、すべての子供たちは、有能Competent自尊心(主体性)Confidentを持つ学び手learnersとして、自分たちのアイデンティティ言語や文化を強く持ちながら育っていく。

Ministry of Education, 2017, Te Whāriki p.2

この短い文の中に、沢山のキーワードがでてきますね!
多民族国家であるニュージーランドには、たくさんの違う文化、言葉、それぞれのアイデンティティがあります。

まったく違った環境で育った親御さんも、ニュージーランドに移住して、子供たちは家ではその文化で暮らしていても、保育園に行くとニュージーランドの文化をあるがままに受け入れて5感で成長しています。

テファリキはニュージーランドの歴史的背景、ワイタンギ条約締結から、マオリ人とイギリス人と、そして、この国に移住するすべての人の子供たちが、平等な学びの機会と成長を約束する素晴らしいカリキュラムと私は思います。この素晴らしいテファリキの願いに沿える保育を日々行っていきたい、と思っています。

世界で一つ 二文化主義体制

さきほど、テファリキはニュージーランドの歴史的背景と深くつながっている、と書きました。
また、テファリキから引用しますね。

It emphasises our biculturalfoundation, our multiculturalpresent and the shared future we are creating ( Ministry of Education, 2017, p.2).

それは、私たちの二文化主義を強調し、私たちの(ニュージーランドの)マルチ文化体制により未来をいっしょに作っていきます。

Ministry of Education, 2017, Te Whāriki p.2

このニュージーランド独自の二文化主義政治ポリシーは英語圏植民地文化を持つ国々の中でユニークなのものです。1840年2月6日にイギリスとマオリで終結されたワイタンギ条約により、この二文化主義の原型ができました。1984年のロンギ政権の社会・教育改革が始まるまで、大きく取り上げられることがなかったと感じますが、私のようなアジア人移民が穏やかに暮らしていけるのは、二文化主義の恩恵だと感じています。

テファリキはニュージーランドにおけるIndigenous people 先住民族・マオリの文化をまさに、織り込んだ幼児教育カリキュラムなのです。

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